956 :名無しさん@おーぷん 2017/05/27(土) 03:43:57 ID:Cie
長話です。


今から数年前の話です。
私は、眼鏡販売の有資格者で、とある眼鏡店で販売員として働いていました。
眼鏡の小売店は、ただ眼鏡を売るだけではありません。
視力検査、レンズ加工、快適に装用できるようにフレームを曲げたり、……等といった、販売以外の技術や知識を用いる仕事です。
当然、販売員の中でも、検査は上手だけど加工は下手であったり、眼科や光学の知識は豊富だけど手先は不器用であったり、個人差があります。


登場人物(当時)
・私(20代半ば 女性)…有資格者だけど新入社員。知識も技術も経験もあるが、店で扱う商品ひとつひとつまでは知らない。
・店長(50代後半 男性)…その会社に入る以前に眼科等の経験あり。眼科疾患や検査に自信あり。有資格者。
・先輩(60代 女性)…私の教育指導担当。長年その店に在籍しており、固定客も多い。販売経験は豊富だが知識や技術は浅い。無資格。
・加工係(60代 男性)…長年その会社に在籍し、定年退職後、嘱託勤務。レンズ加工が得意。無資格。
この四人が同じ店舗に在籍
・お客様(70代男性)


ある日、ひとりのお客様が、眼鏡一式をお買い求めになりました。
後期高齢者、男性、過去に当店で眼鏡購入の履歴あり、度数は弱い、という方です。
このお客様は3つのこだわりをお持ちでした。
 ①フレームのかけ心地に妥協はなく、たとえ調整に30分かかろうとも最適のかけ心地になるまで追求する。
 ②レンズはプラスチックレンズではなくガラスレンズをお求め。
 ③フレームは硬質な金属で、しかし縁の上部をプラスチックで覆ったもの。(サーモントで画像検索したらイメージできるかも)
当時私はその店の新人でしたが、①をご満足頂ける技術は持っていました。
「こんなにも丁寧に調整をしてくれる眼鏡屋さんは初めてだ。ありがとう」
お客様はそう仰って、是非私さんから、眼鏡を買いたい、とご指名くださりました。
私はお客様の要望を一通り聞き終えてから、店長に、どのレンズを販売すればよいかと尋ねました。
当時の私は、ガラスという素材そのものの知識や、薄型レンズは割れやすい等の専門知識は持っていましたが、
その店が扱うレンズ商品の中で、具体的にどれがその最適条件に該当するのか、という商品知識を持っていませんでした。
そこで、店長が指定したレンズをお客様に提案しました。
お客様は代金を支払い、その日は平穏にお帰りになりました。
【眼鏡店で働いていた時、お客様の要望に応えられるように丁寧に対応していた。すると店からは「厄介者」扱いされるようになった。】の続きを読む